料理人の教科書
昼の営業のあと、厨房の作業台に並んだまかない

料理人の教科書

料理人として身につけたい技術と考え方を、理由ごとまとめた教科書。段取り、火入れ、味の決め方から、道具の手入れ、毎日のまかないまで。「気合い」ではなく「仕組み」で、腕を上げるための一冊。

食材から、今日のまかないを探す

教科書

8章。章は「原則 → なぜそうなるのか → 使っているカード」の順。まかないを決めるときは第8章「献立の型」から。

  1. まかないとは何か第1章まかないとは何かまかないは「残り物で済ませる食事」ではない。お客さんに料理を出すための、毎日の練習の場であり、自分の腕を見てもらう試験の場である。
  2. 段取り第2章段取り時間内に終わる人は、手を動かす前に勝負を決めている。完成の姿を描き、時間のかかるものから始め、道具と調味料をそろえてから火をつける。
  3. 大量調理の技術第3章大量調理の技術2人分のレシピを5倍にしても、10人分のおいしい料理にはならない。量が増えると、鍋の温度・水の量・時間・味の決め方が変わる。それに合わせてやり方を変える。
  4. 味の設計第4章味の設計まかないの味は「一口目」ではなく「一皿食べ終えるまで」で決める。甘さと塩けの釣り合い、仕上げの酸、主菜と副菜の組み合わせで、最後まで飽きない味にする。
  5. 素材と下処理第5章素材と下処理まかないの材料は、営業で出る端材が主役。端材を捨てずにおいしくする工夫が、料理人の腕であり、店の利益になる。下処理は「味にひびく所は丁寧に、それ以外は速く」。
  6. 火入れ第6章火入れ同じ材料でも、火の入れ方で別の料理になる。強火で短く仕上げるもの、静かに長く煮るもの、低い温度でじっくりのあと最後だけ焼くもの。料理ごとに「どの火か」を選び、時間ではなく状態を見て決める。
  7. 厨房で伸びる人第7章厨房で伸びる人腕が伸びる人は、見て盗み、考え抜いてから聞き、気づいたことを口に出し、毎日100%でやる。上に立ったら、伝える側に回る。技術と同じくらい、この「学び方」と「働き方」が料理人を決める。
  8. 献立の型第8章献立の型まかないは、ゼロから考えると時間がかかる。「型」を持っておけば、食材・人数・時間を聞いた瞬間に、候補を3つ出せる。型は「主菜の形 + 釣り合いを取る副菜 + 汁」で考える。
この本の使い方
  • 章は「原則 → なぜそうなるのか → 使っているカード」の順に書いてある
  • 具体的な作り方は makanai/ のカード、技術の理屈は tips/ のカードにある。本はその「読む順番」と「つなぎ方」
  • 「まかない決めて」で迷ったら、第8章の献立の型から入る
第1章 まかないとは何か の扉の写真

第1章

まかないとは何か

まかないは「残り物で済ませる食事」ではない。お客さんに料理を出すための、毎日の練習の場であり、自分の腕を見てもらう試験の場である。

1まかないは、お客さんに出す料理の練習

一流店では、まかないもお客さんに出す料理と同じ気持ちで作るよう教わる。

  • 目指すのは、お金を出しても食べたいと思われるまかないだ。おいしいのは当たり前で、見られているのはその先の本気さだ
  • まかないでも、合格点に1点でも足りなければ出さない。失敗と知りながら出すのは、食べる仲間に失礼になる
  • まずいまかないは出さない、と決めている店もある。チーム全体の舌のレベルを上げるため

なぜそうなるのか

まかないは毎日作る。毎日の料理が「これくらいでいいか」だと、その甘さが営業の料理にも出る。逆に、まかないで本気を続けると、それが体にしみこむ。ここ一番で出せるのは、日々の積み重ねだけだ。

2まかないには3つの条件がある

一流店のまかないには、ほぼ共通の条件がある。

  1. 時間:ランチとディナーの間の短い時間。ディナーの仕込みと同時に進める(4人で15人分を110分で作る店もあれば、30分で作る店もある)
  2. 材料:営業で出た端材を使う。原価はとても低い(ふつうのまかないで1人50〜100円ほどという店もある)
  3. 人数:店のスタッフ全員分。10〜25人分を一度に作る

なぜそうなるのか

この3つは、どれも営業の力そのものだ。限られた時間で段取りを組む力、限られた材料をおいしくする力、量が増えても味をぶらさない力。だから、まかないを見れば、その人の実力がわかる。

3まかないは早く出して、みんなを休ませる

味がいちばん。でも、時間も同じくらい大事だ。まかないのあとにスタッフは休憩する。早く出せば、しっかり休める。休めば、夜の営業の質が上がる。

なぜそうなるのか

まかないが遅れると、その日の営業全体がしんどくなる。ある日本料理店では、まかないが遅れそうになったとき、先輩が、若手の練習よりも仲間の食事を先に考えるべきだと判断して、作業を引き取っていた。まかないは、チーム全体の一日の一部だ。

まかないで「鶏の蜜焼き」を100回以上作ってきたシェフによると、ホールのスタッフは料理のいい匂いの中を運ぶばかりで、自分の口には入らない。そのため、まかないの時間にはとてもおなかをすかせているという。ご飯が進むこと、早く出ることは、それだけで仲間への気づかいになる。(カード:鶏の蜜焼き)

4ジャンルを選ばない

専門がフレンチだから和洋中やエスニックは作れない、という言いわけは通らない。お客さんはいろいろな料理を知っている。その人たちに合う味を作るには、まかないでいろいろなジャンルに挑むのがいい。

あるフレンチの店のまかないには、鯖の味噌煮も、魯肉飯も、ガンボも、フィッシュパイも出てくる。外国出身のスタッフが自分の国の料理を作る日もある。

なぜそうなるのか

ジャンルが変わると、使う技術も変わる。中華の火力、和食のだし、フレンチの煮詰め。まかないで別のジャンルを作ると、自分の専門では身につかない技術が増える。中華で覚えた切り方は、海外で働くときの武器にもなる。

5まかないは、食べる人のために作る

ある店では、退職する仲間のリクエストで、生姜たっぷりの鯖の味噌煮を、飾らないやさしい味で、量も多めに作った。最後の出勤日の仲間には、カツ丼を作った。暑い時期には、夏バテでも食べられるように酸味をきかせた。

レシピどおりに作ることが料理ではない。食べたみんなに何を感じてほしいかが、いちばん大事だ。

なぜそうなるのか

「誰が、どんな状態で食べるか」が決まると、味の濃さ、量、温かさ、献立の組み合わせが自然に決まる。これはお客さんに出す料理でも同じだ。

あるフレンチのシェフの若いころの話がある。忙しさに追われてやっつけでまかないを出し続け、料理長に、料理に気持ちがこもっていないと叱られた。悔しくて深夜にひとりで仕込み直した翌日、料理長は、これなら毎日でも食べたいと頭を下げた。そこから他の部署の人まで食べに来るようになり、店での立場も変わった。まかないに気持ちがこもっているかは、食べる仲間に必ず伝わる。

おいしさは、味だけでは決まらない。だれと、何のために集まって食べるかという場の空気が、大きな味つけになる。仲間と囲むまかないは、その空気ごと料理になる。

6本物のまかないは、何をくり返しているか

ある一流店の約4年分のまかない(約900回)を、料理の名前で数えた(おおよその回数)。

回数料理読み取れること
88菓子(金曜のスイーツ)毎週金曜はパティシエがまかないの菓子を作る。営業で余ったガナッシュや果物の切れ端を使う
70パスタ(ボロネーゼ・ラグー・端材のパスタなど)魚や野菜の端、チーズの端、パスタ生地の端を一度に使える。いちばん「端材向き」の型
40揚げ鶏(唐揚げ・ザンギ・竜田揚げなど)まかないの鉄板。下味(卵白・砂糖で保水)と二度揚げの工夫が多い
29チョウザメキャビアを取ったあとの身を、フライ・あんかけ・照り焼きなどにして使い切る
27麺類(ラーメン・冷やし中華・そば・うどん)営業で出たガラでスープを取れる
25トマト煮込み鶏・豚・魚。脂を半分残し、仕上げの酢で締める型
25ハンバーグ・つくねつなぎ(卵白・豆腐・とろろ)で食感を変える
24照り焼き皮を焼いてからたれをぬってオーブン
24麻婆豆腐豆腐の水切り、調味料を入れる順番、毎回少しずつ変える
24クリーム煮・フリカッセ・シチューかぶの皮や余ったリゾットでとろみ
20前後鯖、生姜焼き、コロッケ・メンチカツ、酢豚、とんかつ、カレー、グラタン、丼もの、親子丼家庭料理の定番を、大量調理向けに工夫する

ここからわかること

  • まかないの中心は、特別な料理ではなく、家庭料理の定番。同じ料理が何十回も出てくる。そのたびに作る人が少しずつ工夫を変えている(親子丼だけで18回、工夫の型は第3章とカードを参照)
  • 献立は「端材が先、料理があと」で決まることが多い。キャビアのチョウザメ、かぶの皮、ピーナッツの搾りかす、コンソメのあとの牛すじ
  • 甘いものが毎週ある。仲間を元気にするのもまかないの役目
  • 卒業する人・最後の出勤の人・疲れている週末・暑い日など、「その日に食べる人」に合わせて料理が選ばれている

この章のまとめ

  • まかないは練習であり、試験でもある
  • 時間・材料・人数の3つの条件が、営業の力をそのまま映す
  • 早く出して、みんなを休ませるのも仕事のうち
  • ジャンルを選ばずに挑むと、技術の引き出しが増える
  • 食べる人を思い浮かべると、料理の答えが決まる
  • 本物のまかないは、家庭料理の定番を、端材と工夫で何十回もくり返している
第2章 段取り の扉の写真

第2章

段取り

時間内に終わる人は、手を動かす前に勝負を決めている。完成の姿を描き、時間のかかるものから始め、道具と調味料をそろえてから火をつける。

1まず「完成の姿」を頭に描く

頭の中で完成図を描けていないと、変なものを出すことになる。完成図があれば、何を手元にそろえればいいかもわかる。

なぜそうなるのか

完成の姿が決まっていないと、途中で迷う。迷うと手が止まり、手順を変えたくなる。ある若手は、片栗粉をまぶせばもっとおいしくなると途中で思いつき、手順を変えた。その結果、大きく遅れて、先輩に手伝ってもらうことになった。良いアイデアでも、始める前に決めきるのが原則だ。

2時間のかかるものから始める

「放っておくだけで時間がかかるもの」を最初に始める。だしを冷ます、肉を漬ける、湯を沸かす、煮込みを火にかける。

  • ある日本料理店では、だし巻きに使うだしを先に冷ましておくよう、先輩から声がかかった
  • 40分かかるじゃがいものグラタンを後回しにして、全体が遅れた例がある。そのとき先輩からは、炒め物はあとに回せばいい、どうせ最後の10分は慌てるのだから今のうちに急げ、と言われた
  • 漬けこみや煮込みは前日に回す。カレーのルーを前の日に作って寝かせておく若手もいた

なぜそうなるのか

待ち時間を、ほかの作業と重ねられるからだ。同じ作業量でも、順番を変えるだけで全体の時間が縮む。

3調味料と道具を手元にそろえてから火をつける

  • 使う調味料は全部出し、量るものは先に量る
  • 食材に合った大きさの鍋を選ぶ。あるフレンチのシェフは、若手が選んだ鍋が小さすぎると止めた。食材にいちばん合う道具を選ぶことは、何より先に身につけるべき基本だと教えた
  • 中華の仕上げのように1分で終わる工程は、ソース・薬味・皿をすべて並べてから始める

なぜそうなるのか

途中で取りに行くと手が止まる。手が止まると時間が足りなくなる。時間が足りないと焦る。焦る気持ちは、悪い調味料になる。

4手を動かしながら、頭は次の作業へ

仕事の遅さは、頭の切りかえの遅さから来る、と考えるシェフもいる。玉ねぎを炒めている間に、頭はもう次の作業に向いていないといけない。作業と作業の間の時間を縮めるだけで、5分でも10分でも早くなる。

なぜそうなるのか

一つ終わってから次を考えると、その間は何も進まない。段取りのいい人は、この「考える時間」を手を動かす時間に重ねている。そして、体が自然に次の作業へ移るところまで練習している。頭のスピードと、体のスピードは別物で、体のほうは練習でしか上がらない。

5一つずつ、ちゃんとやる

1個ずつちゃんと仕事をしないと、いいものはできない。同時にいくつも無理にやると、どれも中途半端になる。火を入れ始めたら、その場を離れない。

なぜそうなるのか

「同時にやる」と「重ねてやる」はちがう。時間のかかる放っておける作業は重ねていい。でも、目を離せない作業(炒める、煮詰める、揚げる)を同時に2つやると、どちらかが失敗する。

6片付けながら作る

  • 作業台が散らかっていると、動きが大きくなり、ぶつかったり落としたりする
  • 作業場が乱れているときは、心も乱れている。師匠から弟子へ受けつがれてきた教えだ
  • 使ったものは元の場所に、元の順番で戻す
  • まな板は広く使う

なぜそうなるのか

きれいな台では、次に必要なものがすぐ見つかり、手が止まらない。ただし「片付けること」と「必要なものを手元に置くこと」は両方やる。片付けを気にして調味料をしまいこむと、取りに行く回数が増えて遅れる。

7「間に合うかな」と立ち止まらない

あるシェフは、焦っている若手に、間に合うか不安で固まるのではなく、手を止めて落ち着いて考えるよう教えた。まずその日のゴールを決め、次に何から手をつけるかを決める、という順番だ。

なぜそうなるのか

焦っているときほど、目の前の作業に飛びつく。でも、いちばん効くのは一度止まって、残りの作業を並べ直すことだ。落ち着いてゆっくりやったほうが、結局は早い。

この章のまとめ

  • 始める前に、完成の姿と手順を決めきる
  • 時間のかかるものから始め、待ち時間に別の作業を重ねる
  • 調味料・道具・皿をそろえてから火をつける
  • 手を動かしながら、頭は次の作業へ
  • 目を離せない作業は、一つずつ
  • 片付けながら作る
  • 焦ったら、止まってゴールを決め直す
第3章 大量調理の技術 の扉の写真

第3章

大量調理の技術

2人分のレシピを5倍にしても、10人分のおいしい料理にはならない。量が増えると、鍋の温度・水の量・時間・味の決め方が変わる。それに合わせてやり方を変える。

1炒めるもの・焼くものは「一度に入れない」

鍋に一度にたくさん入れると、温度が下がり、食材から出た水分で「炒める」が「蒸す」に変わる。

  • ひき肉は、鍋の大きさに合った量を、薄く平らに広げて炒める。重なった上の肉は、蒸されているだけだ
  • 量が多いときは、何回かに分ける。鍋を2つ使う(野菜なら、フライパン2つに分けて炒める)

なぜそうなるのか

焼き色と香ばしさは、高い温度でしかつかない。蒸されている肉や野菜は100℃前後にしか上がらず、焼き色がつかない。だから大量のときこそ、分けて焼く。

2塩は「重さの割合」で決める

  • 鯛団子は、鯛と豆腐を合わせた重さの0.8%の塩
  • 麻婆豆腐で、全体の重さの1.1%で塩を決めた若手は、あとで1%でも十分だったと振り返った

なぜそうなるのか

割合で決めておけば、人数が変わっても味がぶれない。目分量だと、量が多いときに薄くなったり濃くなったりする。まず材料を量る習慣をつける。

3あんや煮汁は「味見しながら1つずつ」

17人分のあんかけ焼きそばでは、合わせ調味料を先に作らない。野菜から出る水分の量が多く、先に決めた調味料では一気に薄まるからだ。炒めて水が出たのを見てから、調味料を1つずつ足して味見する。

なぜそうなるのか

少人数なら合わせ調味料は便利だが、量が多いと野菜の水分が読めない。とろみも、大鍋では温度が下がりやすく、時間がたつと変わる。最後の調整は、出す直前にする。

4「誰がよそっても同じ」にする

大人数の親子丼は、だしに先にとろみをつけてから卵でとじる。誰がどうよそっても、具とつゆが同じように盛れる。

なぜそうなるのか

大きな鍋からよそうと、さらさらのつゆは鍋の底にたまる。最初の人は具ばかり、最後の人はつゆばかりになる。とろみがあれば、つゆが具にからんで一緒にすくえる。大量調理では「最後の一人までおいしい」が大事だ。

5ソースは先に作り、仕上げはからめるだけ

  • 回鍋肉は、豚バラを焼いて出た脂で調味料を炒め、先にソースにしておく。最後は具とからめるだけ
  • 豚丼は、濃いタレを先に作り、最後にあえるだけにする。水分の量を調整しやすい
  • 中華の仕上げは1分以内

なぜそうなるのか

大量の料理を一つの鍋で順番に作っていくと、最初に入れたものに火が入りすぎる。ソースと具を別々に完成させておき、最後に合わせれば、仕上げの時間が短く、失敗も少ない。

6切り方は、人数で変えていい

  • ポークピカタは、本来は薄切りだが、大量調理のためにあえて厚切りにした。枚数が減り、焼く回数が減る
  • メカジキフライは、かみ切りやすいように少し薄めに切った
  • 酢豚は少し小さめに切った

なぜそうなるのか

大量調理では、焼く回数・揚げる回数がそのまま時間になる。切り方を変えるだけで、作業時間が大きく変わる。ただし、火加減や時間も合わせて変えること。そして、料理の「型」が崩れすぎないかは考える。

7大人数向きの料理を選ぶ

大量調理に向く料理には、共通点がある。

  • 前日に作れる:煮込み(コック・オ・ヴァン、ブフ・ブルギニョン、カレー)、漬けこみ(から揚げ、鮭の焼き漬け、よだれ鶏)
  • 天板で一度に焼ける:重ね焼き(アッシ・パルマンティエ、コテージパイ、カレードリア、フィッシュパイ)、包み焼き、ロースト
  • 鍋一つで済む:かぶの炊いたん、鶏大根、魯肉飯
  • のせるだけ・かけるだけ:丼(親子丼、中華丼、タコライス)

逆に、1枚ずつ巻く・1人前ずつ仕上げる料理(だし巻き、オムレツ、1人前ずつとじるカツ丼)は、人数分の時間がかかる。カツ丼なら、卵でとじずに別にのせる形にすれば、この問題を避けられる。

82人分 → 10人分にするときの確認表

レシピを5倍にするとき、次を順番に確認する(この表は、ここまでの内容をまとめたもの。数字の目安は一般的な知識による)。

確認すること変えること
鍋の大きさ具が重ならない広さか。足りなければ2つに分ける
炒める・焼く量一度に鍋底1層まで。何回かに分ける
塩材料の重さに対する割合で決める
煮汁・だし5倍にすると多すぎることがある。蒸発する量は鍋の広さで決まり、量に比例しないため(一般的な知識)
合わせ調味料先に全部混ぜず、味見しながら足す
とろみ出す直前に最終調整
揚げ物少しずつ入れて油の温度を保つ
時間「1人前ずつ」の作業があれば、人数分かかる。型を変えられないか考える
盛り付け誰がよそっても同じになるか

この章のまとめ

  • 一度に入れない。分けて焼く
  • 塩は割合で決める
  • あんや煮汁は、味見しながら1つずつ
  • 誰がよそっても同じになる工夫をする
  • ソースは先に、仕上げはからめるだけ
  • 切り方は人数で変えていい
  • 大人数向きの料理を選ぶ
第4章 味の設計 の扉の写真

第4章

味の設計

まかないの味は「一口目」ではなく「一皿食べ終えるまで」で決める。甘さと塩けの釣り合い、仕上げの酸、主菜と副菜の組み合わせで、最後まで飽きない味にする。

1甘辛は、醤油を勝たせない

ある日本料理店の大将は、若手の鯛のあら炊きを、醤油と砂糖のバランスがとれているとほめた。塩からいと、たくさんは食べ進められないからだ。

煮付けでは、先に砂糖をしっかり入れて、甘さがはっきりわかるところまで持っていく。そのあと醤油で少しずつ角を出す。

なぜそうなるのか

醤油が強いと、一口目はおいしくても、量を食べると舌が疲れる。砂糖の甘さは塩けの角を丸くする。まかないはご飯と一緒にたくさん食べるので、営業の料理とは味の決め方がちがう。醤油は最後に足す。足すのは簡単だが、入れすぎたら戻せない。

2仕上げに酸を少し

  • 鶏のトマト煮込みは、最後に白ワインビネガーでキレを出す
  • 豆板醤を使わない麻婆豆腐は、最後に酢を少し足す。豆板醤が持っている発酵の酸味の代わりになる
  • 辛い主菜には、酢をきかせた副菜を合わせる(鯛団子のチリソースと、酢を効かせたナムル)

なぜそうなるのか

酸味は、脂や甘みでぼんやりした味を引き締める。長く煮ると酸の香りは飛ぶので、最後に入れると効く。

3下塩は、調理法で変える

  • 煮込む具には、焼くときより強めに塩をする。煮ると、塩けが煮汁に出ていくからだ
  • 鶏肉を焼くときも、塩は多めに。少ないと焼いている間に流れて、ぼんやりした味になる
  • 塩の量は素材の脂ののりでも変わる。ここはレシピ本に載っていない、料理人の財産の部分だ

なぜそうなるのか

塩は、加熱の仕方で具から出ていく量が変わる。煮れば煮汁に、焼けば流れ出る肉汁と一緒に出ていく。最後に具だけを食べて、味が残っているか確かめる。

4脂は、全部捨てない・全部残さない

鶏のトマト煮込みでは、浮いた脂の半分を捨て、半分をソースに混ぜてコクにする。回鍋肉では、豚バラを焼いて出た脂で調味料を炒める。魯肉飯や豚丼では、下ゆでで余分な脂を落とす。

なぜそうなるのか

脂は香りと旨みを運ぶ。全部捨てると味がやせる。全部残すと重くなり、量を食べられない。料理と食べる量に合わせて、残す量を決める。

5旨みは捨てずに戻す

  • 肉を焼いたフライパンに酒を入れ、底の茶色い旨みを溶かして戻す(クスクスなどの煮込みでも使う)
  • 煮汁をこすときは、野菜をつぶしてしぼる(ブフ・ブルギニョン)
  • かぶの炊いたんは下ゆでせず、油揚げも油抜きせずに使う

なぜそうなるのか

鍋底のこびりつき、野菜が吸った煮汁、素材そのものの旨み。どれも、ふだんは捨てられがちな旨みのかたまりだ。拾い集めれば、特別な材料がなくても味に深みが出る。

6おいしさを分解して、組み立て直す

あるイタリアンのシェフは、修業のあいだずっと、料理を要素に分けては組み立て直してきたという。おいしい料理を食べたら、どの要素の組み合わせがおいしさを生んでいるのかを分けて考える。

例:豆板醤のおいしさ = 辛さ + 発酵の酸味 + 塩けとコク。これを唐辛子オイル・酢・味噌で置きかえれば、豆板醤なしで麻婆豆腐が作れる。

なぜそうなるのか

決まった調味料を入れれば、だれでもそれなりの味になる。でもそれは調味料の味だ。要素に分けて考えると、どれを強めるか弱めるかを自分で選べる。それが「自分の料理」になる。いちばん大事なのは、最後にその一皿で何を伝えたいかだ。要素を入れすぎると、何を言いたいのかわからなくなる。

7料理の「型」を知ってから外す

ある若手は、カチャトーラを前日から長く煮込み、重たいと指摘された。カチャトーラは軽い煮込みで、地方によってトマトを入れたり入れなかったりする。型を知らずに作ると、おいしくても狙いの外れた料理になる。

なぜそうなるのか

食べる人(特にシェフや常連)は、その料理の本来の姿を知っている。伝統料理を知っていることが、創作料理の土台になる。土台があやふやだと、新しいことをしたときに味がぶれる。

8献立全体で釣り合いを取る

  • 濃い主菜には、軽い副菜(中華丼と軽いナムル、麻婆豆腐とまろやかなポタージュ)
  • 副菜にも役割を分ける。鶏の利休焼きの日は「さっぱり」担当の土佐酢あえと「締まり」担当のからし白和え
  • 暑い日は、冷たいもの・香りのよい野菜(冷や汁、ライタ、浅漬け)

なぜそうなるのか

同じ強さの味が続くと、舌が疲れて箸が止まる。軽い味や酸味は口の中をリセットして、次の一口をおいしくする。

9旨みは足しすぎない。苦みも味のうち

ある日本料理の料理人の豚汁は、だしを使わず水と味噌だけで作る。旨みが強すぎると、かえって味の輪郭がぼやけるからだ。食べ終わるころにちょうどよく感じる加減をねらう。ある中国料理のシェフは、ゴーヤーの苦みを消そうとしない。苦みがあるから、ほかの味が立つ。苦みを隠すために味つけを濃くするのは逆効果だ、という考えだ。

なぜそうなるのか

旨みや塩けを重ねすぎると、どの味も目立たなくなり、食べ続けると飽きる。まかないは毎日食べるので、なおさら。苦み・酸味・甘みは、互いに引き立て合う。全部を消してしまうと、平らな味になる。レシピはパズルのようなものだ。口に入れて、足りないパーツを探す。足すのは、足りないものだけ。

この章のまとめ

  • 旨みは足しすぎない。苦みも酸味も味のうち
  • 一皿食べ終えるまでを想像して味を決める
  • 甘辛は砂糖を先に、醤油はあとで少しずつ
  • 仕上げの酸で締める
  • 下塩は調理法で変える
  • 脂は半分残す
  • 旨みは拾って戻す
  • 要素に分けて考えると、自分の味が作れる
  • 型を知ってから外す
  • 献立全体で釣り合いを取る
第5章 素材と下処理 の扉の写真

第5章

素材と下処理

まかないの材料は、営業で出る端材が主役。端材を捨てずにおいしくする工夫が、料理人の腕であり、店の利益になる。下処理は「味にひびく所は丁寧に、それ以外は速く」。

1端材を捨てない

あるシェフは、見た目をきれいにしようとして食材の端を捨てた料理長を叱った。端を捨てていては利益が残らない。どんな食材もおいしく仕上げるのが料理で、そのための工夫が何より大事だ、という考えからだ。

ある店の毎日のまかないは、端材の使い方の見本帳だ。

端材まかないでの使い道カード
コンソメを取ったあとの牛すじぼっかけ丼ぼっかけ丼
営業で余った卵白酢豚の下味、トマト卵スープ酢豚
山椒オイルの搾りかす担々麺、鶏のソテーのソース担々麺、鶏のソテー山椒ソース
燻製の香りの鴨ガラ親子丼・担々麺のスープ親子丼
鴨やほろほろ鳥のガラ、仔羊のすじナヴァランのだしとソース仔羊のナヴァラン
キャベツの外葉和風ロールキャベツ100個和風ロールキャベツ
トマトの端スープ酢豚
かぶの皮フライのおろしソースメカジキフライ
料理用のピーナッツミルクの残りよだれ鶏のたれよだれ鶏
鯛の端材鯛団子鯛団子のチリソース
にんじんの飾り切りの端ピューレにして煮詰め、ムース—

なぜそうなるのか

端材は原価がかからない。それをおいしくできれば、まかないの原価は下がり、店の利益が守られる。さらに、端材は形も量もばらばらなので、どう使うかを考えること自体が、料理を組み立てる練習になる。担々麺は、搾りかすを使い切るために献立が決まった例だ。材料が先、料理があと、という順番もある。

2原価を「自分のお金」で考える

  • ある店では、まかないを売値1,300円、原価400円の料理として作るルールがある。食材ごとに1gいくらか、1人何g使えるかを計算させる
  • 原価をちゃんと見ていなかった若手は、食材の代金を自分ではなくシェフが払うものと考えていたからだ、と振り返った

なぜそうなるのか

計算していないと、使う量が中途半端になる。シェフは、計算していれば「1枚と3分の1」になるはずのものが「2枚まるごと」使われているのを見て、計算していないことを見抜いた。お金の意識を持つと、食材の扱いが丁寧になり、仕事の質が上がる。

3下処理は、丁寧さと速さの釣り合い

ある日本料理店では、鯛のあらを一つずつ丁寧に洗う若手に、若主人が、大きなザルにまとめて入れて洗えば早いと教えた。ただし、エラと血のかたまりだけは絶対に残さない。残ると生臭くて、料理全体が台無しになる。

なぜそうなるのか

営業なら一つずつ丁寧に洗うのが正しい。でもまかないは時間が限られている。味に直接ひびく所に時間を使い、それ以外はまとめて速くやる。この見極めが、まかないの下処理の腕だ。

4切り方をそろえる

  • 人参のグラッセでいちばん大事なのは、大きさをそろえて切ることだ
  • ある日本料理店の先輩は後輩に、細かく気にしすぎなくていいが、火の通りが変わるので大きさはだいたいそろえるように、と指示した

なぜそうなるのか

大きさがばらばらだと、小さいものは煮崩れ、大きいものは生っぽく残る。完全に同じでなくていいが、目安の大きさに寄せることで、火の通りがそろう。

5素材の性質に合わせた下ごしらえ

やること何が良くなるかカード
きのこは手で裂く香りが出て、味がからむきのこは手で裂く
肉に余った卵白をもみこむしっとりやわらかい余った卵白で肉をやわらかくする
鶏肉を塩水に一晩漬ける加熱してもパサつかない鶏肉は塩水に漬けてからゆっくりゆでる
冷凍の魚を塩水に漬ける臭みが抜け、水分が保たれるメカジキフライ
肉を赤ワインに一晩漬けるやわらかく香りがよいコック・オ・ヴァン
塊肉をたこ糸で縛る形がそろい、火がむらなく入る塊肉はたこ糸で縛ってから焼く
揚げ衣を手でにぎって密着タレをからめてもカリッ揚げ衣はにぎって密着させる
緑の野菜はゆでて氷水へ色と食感が残る緑の野菜はゆでたらすぐ冷やす
薬味のねぎは直前に切る香りと食感が残る薬味のねぎは仕上げ直前に切る

6包丁と道具を整える

  • 包丁はいつもよく切れるものを使う(基本として何度も言われること)
  • 魚用(出刃・柳刃)は人差し指を峰にのせて動きを調整し、野菜用(薄刃)は親指と人差し指で刃をはさんでぶれを防ぐ
  • 骨は叩き切らず、関節に包丁を入れて外す。叩くと骨が割れて破片が出る
  • 包丁の腕を上げる練習には、じゃがいもを包丁だけでラグビーボール形に整える「トゥルネ」がいい

7臭みは、消すのではなく先に取る

ブリの煮付けでは、生姜やねぎを「臭み消し」に入れない。85℃以上の湯に2〜3秒くぐらせて霜降りにし、冷たい水でうろこと血合いをこすり落とす。臭みは先に取る。香味野菜は、おいしくするために入れる。ある日本料理の料理人は、生姜焼き・親子丼・豚汁の肉を、すべて霜降りしてから使う。

なぜそうなるのか

切った肉や魚の表面は、空気にふれて酸化している。その脂と臭みを湯で落とせば、汁が濁らず、すっきりした味になる。抜けるのは雑味で、旨みは中に残る。逆に、ごぼうは水にさらさない。黒い汁が旨みと香りのもとだから。「取るもの」と「残すもの」を分けるのが下処理。

この章のまとめ

  • 臭みは先に取る。取るものと残すものを分ける
  • 端材はまかないの主役。使い道を考えることが料理の練習になる
  • 原価は自分のお金として考える
  • 下処理は、味にひびく所は丁寧に、それ以外は速く
  • 大きさはだいたいそろえる
  • 素材の性質に合った下ごしらえをする
  • 包丁はいつも切れる状態に
第6章 火入れ の扉の写真

第6章

火入れ

同じ材料でも、火の入れ方で別の料理になる。強火で短く仕上げるもの、静かに長く煮るもの、低い温度でじっくりのあと最後だけ焼くもの。料理ごとに「どの火か」を選び、時間ではなく状態を見て決める。

1強火で一気に:中華の仕上げ

中華は、火の力で香りと味を一瞬でまとめる料理だ。最後のソースをからめて盛る工程は、1分以内で終える。中華では、1秒どころか0.1秒のむだも惜しむ、と考えるシェフもいる。

なぜそうなるのか

強火で短く仕上げると、表面だけに熱が入り、中の水分や食感が残る。長く火にかけると、揚げた衣がソースを吸ってベタっとする。だから時間のかかる工程は先に終わらせ、仕上げの道具をすべて並べてから火をつける。

2さっとか、長くか:いかと肉の「中途半端」をさける

いかをやわらかく食べる方法は、「さっと煮る」か「長時間煮る」かの2つしかない。30分で作るなら、さっと煮るしかない。

なぜそうなるのか

いかの身は火が入ると縮んで固くなる。そのまま長く煮ると、また筋がほぐれてやわらかくなる。中途半端な時間だと、いちばん固い状態で出すことになる。この火加減を使いこなせなければ一流にはなれない、と考えるシェフもいる。

3煮込みは、軽い煮込みと重い煮込みを分ける

  • 軽い煮込み:カチャトーラ。その日に作り、新鮮さを残す
  • 重い煮込み:ブフ・ブルギニョン、コック・オ・ヴァン。一晩漬けて、2時間煮て、煮汁を半分以下まで煮詰める
  • 煮込みのとろみは粉でつける。肉に粉をまぶして炒める(サンジェ)か、バターと粉を練ったもの(ブールマニエ)を溶かす。粉を忘れると、コック・オ・ヴァンとは認めてもらえない

なぜそうなるのか

「煮込み」と一言で言っても、狙う姿がちがう。軽い煮込みを長く煮れば重くなり、重い煮込みを短く煮れば味が入らない。料理の型を知っておけば、どの火で何分かが決まる。

4煮詰めは、時間ではなく泡を見る

  • 鯛のあら炊きでは、煮汁の泡が「ぶくぶく」から「とろっとした泡」に変わったのを見て、みりんを入れる
  • フランス料理でも、粘りのある泡が出たらとろみがついた合図
  • 人参のグラッセは、水分がなくなるのと同時に火が通るように、沸かし続ける

なぜそうなるのか

水分が減ると砂糖の割合が上がり、とろみが出て泡が割れにくくなる。泡の形が変わるのは、煮詰まった合図だ。砂糖は煮詰まりすぎると急に焦げるので、ここからは目を離さない。「詰まる」と「焦げる」の境目は、とても近い。

5野菜は、火の通る順に入れる

ある若手のミネストローネは、にんじんの臭さが残り、まったくおいしくないと言われた。シェフは、野菜ごとに火が通る時間を考えずに作っていることを指摘した。

なぜそうなるのか

かたい根菜と、やわらかい夏野菜や葉ものを同時に入れると、根菜が生っぽいうちに、ほかが煮崩れる。かたいものから時間をずらして入れる。強火を保たないと、炒めているつもりの野菜がピューレのように崩れる。

6肉は、焼き色をつけて、休ませる

  • 塊肉はたこ糸で縛って形をそろえ、全面を焼き固めてからオーブンへ。途中で鍋の脂をかける(アロゼ)
  • 焼き上がりは中心の温度で決める。焼いたら、オーブンに入れていたのと同じくらいの時間、アルミ箔で包んで休ませる(ロポゼ)
  • 骨付きで焼くと縮みにくい。鶏や鴨の皮は、皮だけに切れ目を入れて、じっくり焼いて脂を出す
  • 大きなかたまりは、低い温度で長く火を入れ、最後に高温で焼き色だけつける(例:ローストポークは65℃で4時間)

なぜそうなるのか

焼き色と香ばしさは高温でしかつかない。でも高温で長く焼くと外側だけ火が入りすぎる。焼き色をつける火と、中に火を通す火を分けて考える。休ませると、外側の熱が中にゆっくり伝わり、肉汁が落ち着く。

7鶏肉は、沸騰させずにゆでる

よだれ鶏は、白ワイン入りの塩水に一晩漬け、低めの温度でゆっくりゆでる。

なぜそうなるのか

ぐらぐら沸騰させると、肉のたんぱく質が強く縮み、肉汁がしぼり出されてパサつく。低い温度なら縮みがゆるやかで、しっとりする。塩水に漬けておくと、さらに水分を抱えこむ。

8揚げ物は、温度と香りの釣り合い

  • 山椒の香りの漬け地は焦げやすい。焦げない温度と、引き上げるタイミングに気をつける(山椒唐揚げ)
  • 甘鯛の鱗焼きは、140℃の油をゆっくりかけて鱗を立ててから焼く
  • 中身にもう火が通っているコロッケは、衣に色がつけばいい。少ない油の揚げ焼きでもできる
  • 大量に揚げるときは、少しずつ入れて油の温度を保つ(一般的な注意)

9乳化は、沸かして混ぜる

あさりのスパゲッティのソースは、オリーブ油とあさりのだしを中火でぐらぐら煮立て、ゆすりながら3〜5分。白くとろっとしたら乳化している。

なぜそうなるのか

強く沸かしてゆすると、油が細かいつぶになって水の中に散らばる。だしやゆで汁に溶けたでんぷんやたんぱく質が、つぶを包んで分かれにくくする。弱火のままでは乳化しない。

10冷たいところから始める

ひき肉のそぼろ、肉じゃが、親子丼の鶏、チンジャオロースの肉、チキンソテー。日本料理・中国料理・フランス料理と、ジャンルをこえて多くの料理人が「火をつける前の鍋に入れてから火をつける」やり方をしている。これを「コールドスタート」と呼ぶ。

なぜそうなるのか

たんぱく質は60℃台から固まり始める。熱い鍋にいきなり入れると、表面だけが一気に固まって肉同士がくっつき、団子になる。冷たいところからゆっくり温度を上げれば、中と外の差が小さく、肉汁を保ったまま火が入る。焦らなくてよいので、失敗も減る。

11煮物は、冷めるときに味が入る

肉じゃがは、中火20〜25分で火を通したら、いったん常温まで冷ます。食べる前に温め直し、汁をかけながら好みの濃さに煮詰める。火が入っただけでは、中に味は入っていない。

なぜそうなるのか

煮えた野菜や肉は、冷めていくときに周りの汁を吸う。野菜はスポンジのようなものだ。1日たったカレーやおでんがおいしいのも同じ理由。まかないなら、ランチ前に火を入れておき、まかないの時間に温め直せば、短い時間でも味のしみた煮物が出せる推測。

12家庭の火力でも、シャキッと炒める

店の中華は強い火で一気に炒めるが、家庭や小さな厨房の火では温度が下がって水が出る。やり方を変えれば、同じ結果が出せる。

  • 野菜に油をまぶしてから、沸いたスープに入れてふたで1分(中華丼)
  • 鍋はあおらない。あおると温度が下がる(肉野菜炒め、チャーハン)
  • 材料ごとに火を通して取り出し、最後に合わせる(レバニラ、ゴーヤーチャンプルー)
  • ごぼうは油でなく水で蒸し炒めにし、油は最後(きんぴら)

なぜそうなるのか

炒め物がべちゃっとするのは、温度が下がって、野菜から出た水で煮えてしまうから。油の膜で水分を閉じ込める、ふたの中の蒸気で一気に火を通す、一度に入れる量を減らす。どれも「水を出さずに短い時間で火を入れる」ための工夫。

この章のまとめ

  • 料理ごとに「どの火か」を選ぶ
  • いかや肉は、さっとか長くか。中途半端をさける
  • 煮込みは軽いか重いかで、時間ととろみの付け方が変わる
  • 煮詰めは泡で見る
  • 野菜は火の通る順に
  • 肉は焼き色の火と中に通す火を分け、焼いたら休ませる
  • 鶏は沸騰させずにゆでる
  • 揚げ物は香りが焦げない温度で
  • 乳化は沸かして混ぜる
  • 肉は冷たいところから。煮物は冷ますときに味が入る
  • 家庭の火では、油の膜・ふた・取り出しで水を出さずに炒める
第7章 厨房で伸びる人 の扉の写真

第7章

厨房で伸びる人

腕が伸びる人は、見て盗み、考え抜いてから聞き、気づいたことを口に出し、毎日100%でやる。上に立ったら、伝える側に回る。技術と同じくらい、この「学び方」と「働き方」が料理人を決める。

1見て盗む

  • ある日本料理店の若手は、先輩が別の人に教えている声に聞き耳を立てて、技を盗んでいた。教えてもらえる機会が増えた今こそ、その一歩先をやる、と話していた
  • いちばん見なければいけないのは、鍋の中身だ。どこまで炒めたか、どれだけ入れたか、どこまで煮詰めたか
  • 営業中は、答えだらけだ。人がやっていることを注意深く見る

なぜそうなるのか

微妙な味加減は、口では教えきれない。伝えることは結局できず、習う側がつかむしかない。見る力がある人は、教わらなくても毎日学べる。

2考え抜いてから聞く

聞くことは悪くない。大事なのは、どこまで自分で考えてから聞くかだ。考えて考えて、思いつかないところまで行ってから聞く。教える側も、答えではなくヒントだけを出す。

なぜそうなるのか

引き出しは、自分で開けないと自分のものにならない。ヒントから自分で考え、試して、おいしくなったものは、ずっと自分の引き出しとして残る。答えをもらっただけでは、次に同じ場面が来ても思い出せない。

3気づいた違和感は、その場で言う

ある若手は、スープのつぶつぶに気づいていたのに、先輩に意見を聞いて、自分の考えと違うやり方にしてしまった。あとで、自分の責任を果たせていなかったと振り返った。

今の若手は仕事に必要な会話が少なく、それでミスが起きる、と言うシェフもいる。自分がどう思われるかを気にして、話しかけるのがおっくうになっている。それでも、必要なことは口に出さなければいけない、という。

なぜそうなるのか

違和感は、時間がたつほど直せなくなる。その場なら、やり直す時間がある。言葉を発することも、責任のうちだ。また、厨房は自分たちだけで動いていない。ほかの人の鍋や材料を使うなら、先に声をかける。

4指摘されるうちが花

  • シェフに何も言われなくなったらおしまいなので、指摘してもらえるうちに弱点をなくしたい、と話す若手もいる
  • 先輩が味見をしているときに、台に手をついて聞かない。背筋を伸ばし、メモを取れるように構える
  • 前回の指摘を直して出すこと自体が、ちゃんと聞いていたという返事になる

怒らない上司は、優しいのではない。基準を伝えることから逃げているだけだ。怒鳴るのではなく、事実と基準を伝える。それが育てるということ。ただし、その環境でつぶれてしまう人を無理に引き止めないのも優しさで、その見極めも上司の仕事だ。

なぜそうなるのか

指摘は、相手が時間と気持ちを使ってくれているしるしだ。優しくしてちゃんと教えないのは、いちばん優しくない。気づいたときには、取り返しがつかなくなる。厳しさの中身が「何を直せばいいか」なら、それは道しるべになる。

5毎日100%でやる

  • 店の評価が決まる大事な日でも、出せるのは日々の積み重ねだけ。普段から100%でやっているか
  • ある若手は、シェフに今日は特別な日だったかと聞かれ、いつもどおり毎日全力だと答えた
  • 高い意識を持ち続け、体に染みこませる。そうすれば自然と差が出る
  • 忙しいときでも、出す料理はいつも同じ質でないといけない。忙しいとできないなら、気持ちが負けている

なぜそうなるのか

「ここ一番」で急に力を出すことはできない。体が覚えていることしか、追いこまれたときには出てこない。

6練習は、前日では遅い

あるシェフは、修業時代にチャーハンがうまく作れず、1か月のあいだ、まかないでチャーハンだけを作り続けた。毎日先輩に食べてもらい、もらった助言を次の日に直した。今の作り方はそこから生まれた。まかないは、毎日だれかに食べてもらえる練習の場でもある。(カード:チャーハン)

  • 大事なまかないの前の晩に試作した若手に、シェフは、前日に失敗しても1日では直せないのだから遅すぎる、と言った
  • 1週間練習して、体が自然に次の作業へ移るところまで手順を染みこませた若手もいる。シェフはそこに本気の決意を見た
  • 失敗したあと、次の機会までに自分のお金で練習用の鱧を買い、初めて先輩に教えを求めた新人もいる
  • 鍋振りは家でも練習できる。包丁の練習はじゃがいもが向いている

なぜそうなるのか

頭で理解するスピードと、体が動くスピードは別物だ。体のほうは、くり返した回数でしか上がらない。

7自分の料理の価値を考える

あるシェフは、若手に自分のまかないの値段をつけさせた。若手の値段は6,800円、シェフの値段は1,200円のランチ。その差がいまの実力と目標の差だった。シェフが何より心配したのは、自分の料理の価値を一度も考えたことがないことだ。

なぜそうなるのか

値段を考えると、原価、練習の量、食べる人の満足、すべてを自分ごととして見るようになる。もっとおいしさに貪欲になり、お金をかけて自己投資をする。本物を食べに行くことも練習のうちだ。

8上に立ったら、伝える側に回る

  • 上に立つ人の力は、自分では包丁を持たずに言葉だけで後輩を動かし、自分が作るのと同じ質を出せるかで試される。ある日本料理店のシェフによれば、自分の手で上手に作れる人は多いが、人に伝えてその人を上手にさせるほうがずっと難しい
  • 伝えるときは前提から。「何を作るか、だからこうする」を先に言う
  • 自分でやったほうが早いからと仕事を取り上げると、人は育たない
  • 人に作業を任せたら、仕上がりまで確認する
  • 怒る前に、なぜそうなったのかを聞く
  • 皿をポジションの責任者と一緒に考えると、営業中も「自分の皿」として責任を持つ
  • 後輩のミスは先輩が責任を取る

なぜそうなるのか

感覚でやってきたことは、自分の中では当たり前になっている。言葉にしないと相手には伝わらない。わからないことをわかるようにするのが、上に立つ人の役目だ。そして人に教えることで、自分も成長する。

85 新しい厨房では、丁寧さと姿勢を見られている

一流の厨房の試し働きで見られるのは、料理を一皿作る力ではなく、包丁仕事やオムレツのような基本の作業だ。見習いに求めるのは、速さより、教わったとおりに同じものを作れることだ。丁寧さのない速さがいちばんよくない。そして最後に問われるのは、何より働く姿勢だ。早く来て、遅くまで残って片付けを手伝い、仲間に敬意を払う人には、周りが喜んで教える。

9チームで働く

  • 店の1日の売上を、チームで共有する店もある。自分の仕事が売上を生んでいると感じながら働いてほしいから
  • 下から上がってくる人がいると、上の人も抜かれまいと焦り、店全体が上がる
  • 採用で見るのは人間性と学ぶ姿勢。面接のあと、手伝えることはないかと自分から申し出た人を採った店もある。人間性に問題のある人が一人入ると、チームは簡単に崩れる
  • まかないのあとにみんなが休めるよう、早く出す

10しんどさとの付き合い方

  • つらいけれど、このつらさに慣れなければ料理の道ではやっていけない、と話す若手もいる
  • 料理人はひとりで戦う仕事だ、と感じているシェフもいる。外から来た者として、自分を証明し続けてきたという
  • 料理人を一度やめた時期があっても、年を重ねてから大きく認められたシェフもいる
  • ある若手は、まかないがうまくいかなかったのに、それでも楽しかったと話した。子どものころ、目玉焼きが上手に焼けてうれしかった気持ちがよみがえったという
  • 一度挑戦すると、次は少し楽になる

なぜそうなるのか

料理の世界の厳しさは、ほとんどの人が通る道だ。続けている人たちは、しんどさの中に「できるようになる楽しさ」を見つけている。

この章のまとめ

  • 見て盗む。鍋の中を見る
  • 考え抜いてから聞く。ヒントから自分で引き出しを開ける
  • 違和感はその場で言う
  • 指摘されるうちが花
  • 毎日100%。ここ一番は日々の積み重ね
  • 練習は前日では遅い
  • 自分の料理に値段をつけてみる
  • 上に立ったら、伝える側に回る
  • チームで働き、チームで上がる
第8章 献立の型 の扉の写真

第8章

献立の型

まかないは、ゼロから考えると時間がかかる。「型」を持っておけば、食材・人数・時間を聞いた瞬間に、候補を3つ出せる。型は「主菜の形 + 釣り合いを取る副菜 + 汁」で考える。

この章の1人あたりの量の目安は、一般的な知識によるもの。店や食べる人で調整する。

まかないを決める順番

  1. 時間を見る:30分か、1時間か、前日から仕込めるか
  2. 人数を見る:10人を超えるなら、天板・大鍋・丼の型を優先する
  3. 端材と在庫を見る:今日いちばん使いたいもの(余っている肉、野菜の外葉、だし)から主菜を決める
  4. 型を選ぶ:下の6つの型から選ぶ
  5. 副菜で釣り合いを取る:主菜が濃ければ、軽い・酸っぱい・冷たい副菜
  6. 段取りを並べる:時間のかかるものから(第2章)

型1:丼(のせるだけ・かけるだけ)

いちばん大人数向き。ご飯を炊いて、具を一つの鍋で作れば終わる。

料理時間の目安カード
親子丼30分親子丼
中華丼30分中華丼
豚丼30分豚丼
カツ丼45分カツ丼
タコライス30分タコライス
魯肉飯1時間30分魯肉飯
ぼっかけ丼40分ぼっかけ丼
カオマンガイ炒飯50分カオマンガイ炒飯
炊き込みご飯・三色丼1時間炊き込みご飯とそぼろ丼
ビビンバ40分ビビンバ
ちらし寿司1時間ちらし寿司
カレー1〜3時間カレー
ハヤシライス1時間30分ハヤシライス
牛丼15分牛丼
チャーハン15分(ご飯は固めに炊く)チャーハン

10人分にするときのこつ

  • ご飯は1人200〜250g(炊いたあと)が目安。米なら1人90〜110g(一般的な目安)
  • 汁気のある丼は、汁にとろみをつけてから卵でとじる(大人数の丼は汁にとろみをつけてからとじる)
  • 濃いタレを先に作り、最後に水分で調整する(豚丼)
  • 副菜:浅漬け、酢の物、ナムル、おひたし。丼が濃いので、さっぱりしたもの

型2:揚げ物の定食

まかないの「鉄板」。前の晩に漬けておけば、当日は揚げるだけ。

料理ポイントカード
鶏のから揚げ一晩漬け、揚げたあと黒こしょう鶏のから揚げ
山椒唐揚げ漬け地に山椒を溶かす。焦がさない温度山椒唐揚げ
チキン南蛮一枚肉、酸味の強いタルタルチキン南蛮
油淋鶏きゅうりを2通りに切ったたれ油淋鶏
酢豚卵白で下味、衣をにぎって密着酢豚
蜂蜜レモンさつまいも酢鶏甘酢に季節の甘い野菜を足す蜂蜜レモンさつまいも酢鶏
メカジキフライ冷凍魚を塩水で、パン粉は2回メカジキフライ
かぼちゃコロッケ中身は先に作れるかぼちゃコロッケ
とんかつ二度揚げ、厚い肉はオーブンと組み合わせるとんかつ
コロッケ・メンチカツじゃがいもは焼いて甘くコロッケとメンチカツ
鶏チリ・豚チリ下揚げで火を通しきらない鶏チリと豚チリ
南蛮漬け揚げてから漬ける。前日に作れる南蛮漬け

10人分にするときのこつ

  • 肉は1人120〜150gが目安(一般的な目安)
  • 油に一度にたくさん入れない。少しずつ揚げて温度を保つ
  • たれやソースは揚げたてにかける。時間がたつと衣がふやける
  • 各自で組み立てる出し方もある(から揚げに、ピクルスやナムルを並べて弁当のように)
  • 副菜:揚げ物は脂が多いので、ピクルス、酢の物、たっぷりの生野菜

型3:煮込み(前日に仕込める)

前の日に作れて、当日は温めるだけ。人数が多い日、時間がない日の切り札。

料理系統カード
鶏のトマト煮込みトマト・洋鶏のトマト煮込み
鶏のフリカッセ白ワインとクリーム・洋鶏のフリカッセ
鶏のヴィネガー煮込みビネガーとトマト・洋鶏のヴィネガー煮込み
鶏のシャスール風きのことデミグラス・洋鶏のシャスール風
鶏のカチャトーラトマト・軽い煮込み(その日に作る)鶏のカチャトーラ
コック・オ・ヴァン赤ワイン・重い煮込みコック・オ・ヴァン
ブフ・ブルギニョン赤ワイン・重い煮込みブフ・ブルギニョン
鶏の煮込み(鴨だし)だし・洋鶏の煮込み(鴨だし)
仔羊のクスクススパイス仔羊のクスクス
ガンボスパイス・ルーガンボ
サーモンのカレーカレーサーモンのカレー
鶏大根和・だし鶏大根
鯖の味噌煮和・味噌鯖の味噌煮
鯛のあら炊き和・甘辛鯛のあら炊き
和風ロールキャベツ和・だし和風ロールキャベツ
角煮和・中角煮
肉じゃが和・甘辛肉じゃが
筑前煮・鶏の煮物和・だし筑前煮と鶏の煮物
みぞれ煮和・おろしみぞれ煮
鍋和・だし鍋
豚バラ大根和・甘辛(30分)豚バラ大根
モツ煮込み和・味噌(寝かせるとさらによい)モツ煮込み
ブリの煮付け和・甘辛(魚の切り身なら何でも)ブリの煮付け

10人分にするときのこつ

  • 肉は焼き色をつけるところだけ何回かに分ける。煮るのは大鍋で一度に
  • 煮汁は単純に5倍にしない。広い鍋なら蒸発が多く、深い鍋なら少ない。様子を見て足す
  • 脂は半分すくって半分残す(煮込みの脂は半分取って半分使う)
  • 仕上げに酸を少し(仕上げの酸で味を締める)
  • 副菜:煮込みは重いので、サラダ、マリネ、焼いた野菜。じゃがいもの付け合わせ(ロースト、ピューレ、グラタン)は満足感が上がる

型4:重ね焼き・包み焼き(天板で一度に)

残り物を別の料理に変える型。天板1枚で大人数分が焼ける。

料理下の層上の層カード
アッシ・パルマンティエミートソースじゃがいもアッシ・パルマンティエ
コテージパイひき肉のラグーマッシュポテトコテージパイ
カレードリアご飯とカレーベシャメルとチーズカレードリア
フィッシュパイ魚とベシャメルパイ生地フィッシュパイ
グラタン具とベシャメルチーズグラタン
魚の包み焼き野菜とだし魚(大きく包む)魚の包み焼き

10人分にするときのこつ

  • 前の日の煮込みやカレーを下の層に使える
  • 層が薄いと焼いている間に乾く。下の層はやや水分を残す
  • 副菜:スープ(ミネストローネなど)とサラダ

型5:焼き物の定食(魚・肉)

料理ポイントカード
鮭の焼き漬け焼いてから漬ける。前日に作れる鮭の焼き漬け
鶏の利休焼きごまをまとわせて焼く鶏の利休焼き
鶏のソテー山椒ソース皮をじっくり焼いてパリッと鶏のソテー山椒ソース
鶏肉の香草パン粉焼き塩は強めに、パン粉は先に作る鶏肉の香草パン粉焼き
ポークピカタ大量調理のためにあえて厚切りポークピカタ
ローストポーク低温で長く、最後に焼き色ローストポーク
ステック・フリット安い赤身でいい。整えすぎないステック・フリット
鶏の照り焼き皮を焼いてからたれをぬってオーブン鶏の照り焼き
チキンソテー皮をパリッと焼いてオーブンチキンソテー
生姜焼き豚バラは湯通しで脂抜き、たれは先に生姜焼き
ハンバーグつなぎで食感を変えるハンバーグ
焼き魚の定食酒で臭み抜き、最後に上火で皮鯖の塩焼きと焼き魚の定食
甘鯛の鱗焼きと野菜おろし野菜おろしは前日に作れる甘鯛の鱗焼きと野菜おろし
鶏の蜜焼き塩1%・砂糖10%・醤油10%で漬けてオーブン。20〜30人分も同じ手間鶏の蜜焼き
鶏むねのしっとり焼き香味野菜の湯で煮て、休ませてから焼き色鶏むねのしっとり焼き
豚こまの肉巻き安い切り落としを10cmにそろえて巻く豚こまの肉巻き

10人分にするときのこつ

  • 天板とオーブンで一度に焼けるものを選ぶ。フライパンで1枚ずつ焼く料理は人数分の時間がかかる
  • 皮目だけフライパンで焼き、オーブンで仕上げる方法もある推測
  • 副菜:和なら汁物と和え物、洋ならスープとサラダ

型6:麺・パスタ・中華の一皿

料理ポイントカード
あんかけ焼きそば合わせ調味料は作らず、味見で足すあんかけ焼きそば
担々麺肉味噌・ラー油・ごまペーストは前もって担々麺
あさりとクレソンのスパゲッティ油とだしを沸かして乳化あさりとクレソンのスパゲッティ
カーチョエペペチーズの削り方で役割を変えるカーチョエペペ
端材のパスタ魚や野菜の端とだしでソース端材のパスタ
ボロネーゼ・ラグー肉をごろごろに焼きつけるボロネーゼとラグーパスタ
ラーメン営業のガラでスープラーメン
冷やし中華・冷たい麺冷たい麺は味を濃いめに冷やし中華と冷たい麺
青椒肉絲具を別々に炒めて最後に合わせる青椒肉絲
麻婆なすなすは揚げてから最後にあんと麻婆なす
冷しゃぶゆでた豚を水に落とさない冷しゃぶ
麻婆豆腐肉は薄く広げて炒める。最後に酢を少し豆板醤を使わない麻婆豆腐
回鍋肉ソースを先に作り、からめるだけ回鍋肉
鯛団子のチリソース仕上げは1分鯛団子のチリソース
いかのセート風煮込みいかは最後にさっといかのセート風煮込み
カルボナーラ火を止めて卵、弱火で様子を見るカルボナーラ
鯖と小松菜のパスタ冷凍サバで。薄皮と塩で臭みを取る。フライパン1つ鯖と小松菜のパスタ
野菜炒め野菜は600gまで。鍋はあおらない野菜炒め
レバニラ炒めレバーは厚く、表面だけ焼いて取り出すレバニラ炒め
ゴーヤーチャンプルーゴーヤーは30秒ゆで、苦みは消さないゴーヤーチャンプルー

10人分にするときのこつ

  • 麺は1人生麺1玉(120〜150g)、乾麺のパスタは1人80〜100gが目安(一般的な目安)
  • 麺をゆでる・パスタを乳化させるのは、一度に扱える量ずつ。大人数ならゆで湯と鍋を2つ用意する
  • 中華は仕上げの直前まで全部準備して、最後に一気に(中華の仕上げは火力で1分)
  • 副菜:中華ならナムルやスープ、パスタならサラダ

副菜の引き出し

主菜に合わせて、釣り合いを取る副菜を選ぶ(献立は濃い主菜と軽い副菜で釣り合いを取る)。

主菜の性格合う副菜の方向例
辛い・濃い酸っぱい、さっぱり酢を効かせたナムル、酢の物、浅漬け
揚げ物・脂っこい酸味、生野菜ピクルス、大根の甘酢、コールスロー
煮込み・重い焼き野菜、サラダ、じゃがいもローストポテト、グリーンサラダ、ラタトゥイユ
和の主菜汁物と和え物かぶと油揚げの炊いたん、ごま和え、お吸い物
暑い日冷たい、香りの野菜冷や汁、ライタ(きゅうりとミントのヨーグルト)、焼きびたし
卵の一品がほしい卵焼き、スープだし巻き卵、トマト卵スープ
汁物がほしい具だくさんの汁豚汁、じゃがいものスープ(ビシソワーズ)
作り置きの一品冷めてもおいしいきんぴらごぼう
甘いものがほしい冷やして固めるだけぷるぷるプリン(アガーで固める)

「まかない決めて」の答え方の例

例:「まかない決めて:鶏もも、キャベツ半分、卵、8人、30分」

  1. 30分 → 前日仕込みの煮込みは無理。丼か揚げ物か炒め物
  2. 8人 → 1人前ずつの料理は避ける
  3. 鶏もも・キャベツ・卵 → 親子丼(キャベツは副菜)、油淋鶏(キャベツは千切りの付け合わせ)、回鍋肉風の鶏キャベツ味噌炒め(カード外)
  4. 副菜は、キャベツの浅漬けか、キャベツと卵のスープ

この手順を、カードを見ながら毎回くり返す。足りない型は、作ったまかないをカードにして増やしていく。

この章のまとめ

  • 時間 → 人数 → 端材 → 型 → 副菜 → 段取り、の順で決める
  • 型は6つ:丼、揚げ物定食、煮込み、重ね焼き、焼き物定食、麺・中華
  • 副菜は主菜の性格の反対側から選ぶ
  • 足りない型は、作ったものをカードにして増やす

まかない

109品。写真を押すと作り方が開く。

109品

コツ

77のコツ。やり方と「なぜそうなるのか」をセットで。

77個

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写真

写真は、雰囲気を伝えるための生成画像(Gemini)。実際の店の料理の写真ではない。

デザインの考え方

料理レシピのサービスや料理メディアの画面を見比べて決めた。写真を主役にし、背景は白、色は料理人の前掛けの藍1色。時間と人数はアイコンと数字で、手順は黒丸の番号で示す。絞りこみには件数を出す。

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